第13代全日本空挺同志会 会長 火箱芳文
全日本空挺同会は約60年前に旧軍の落下傘部隊出身者と第1空挺団所属隊員の連帯、団結、親和を目的に発足したときいていおります。「挺身赴難」の精神を持つ旧落下傘部隊の有志の方々とその伝統を継承・発展すべき陸自唯一の落下傘部隊である第1空挺団との相互の連帯を主に活動を開始し、今や諸先輩たちの努力により、現役会員、遺族会員、家族会員、特別会員を含む全国規模の大きな組織に発展してきました。しかしながら近年旧軍出身者及び第1空挺団草創期の方々も高齢化し、鬼籍に入られる方も多く、残念ながら会勢の増加に至っておりません。また戦後生まれのうち、昭和後期から平成生まれの自衛官も多く入隊され、空挺同志会の存在意義や「挺身赴難」という伝統精神に対する理解不足、希薄化なども仄聞しています。会長就任に当たり伝統精神の継承、旧軍落下傘部隊の慰霊・顕彰、旧挺・元挺会員、遺族・家族会員、特別会員と現役会員との連帯意識の高揚、会勢の拡大を如何にするべきか真摯に考え、更なる全日本空挺同志会の活性化に寄与したいと考えております。渡邊第2代空挺団長は「創造なき伝統は危殆に瀕す」と遺しておられます。この意味は今まで約60年間培ってきたことを毎年、毎年新たな気持ちで繰り返していかなければ、伝統は続かないということであります。「挺身赴難」という伝統精神に支えられてこそ落下傘部隊の使命は達成できるものであります。またこの精神を理解し、習得している第1空挺団員及び予備員こそが、陸上自衛隊の全隊員の指標となりえるものと確信しています。この精神の継承、伝承のため、同志会の事業を総点検、検討しつつ護るべき伝統をさらに強固に更新・堅持し、改善すべき点は新たな視点で創造していく所存であります。